ポケモンGoおじさんは名探偵ピカチュウの映画を観るか

名探偵ピカチュウは気になるけど、ポケモンは「ポケモンGo」しか知らないし、映画を観に行っても楽しめるのか?と躊躇している方も多いと思う。

そういった方に向けて、映画「名探偵ピカチュウ」を熱烈にプレゼンしていきたい。

ストーリーに関わる重大なネタバレは避けつつ、前半ではポケモンGoおじさん*1に映画「名探偵ピカチュウ」をオススメする理由を、後半ではポケモンGoユーザー向けの補足的な解説を述べる。

ポケモンGoおじさんに「名探偵ピカチュウ」を勧める理由

1.あなたも知っているポケモン達が大活躍

劇中で活躍するポケモン達のほとんどは、ポケモンGoでおなじみのメンバーなので、安心していい。ゼニガメヒトカゲフシギダネ、ポッポとその進化形たち、プリンにカラカラ、コイキング、なんと言っても活き活きと躍動するリザードン

ポケモンGoに未登場のポケモンも若干登場するが、事前知識がなくても全く問題のない描かれ方をしており、戸惑うことなく楽しめるだろう(本稿後半で若干解説するが、読まずとも何ら問題ない)。

また、レイドバトルに最近まで出現していた伝説のポケモンディアルガパルキアの石像がちらりと映るなど、ポケモンGoユーザーは小ネタ探しも十分楽しめる。

2.そもそもピカチュウがおじさん

公式では「おっさん」と表記されており、名探偵ピカチュウは中年男性、しかもちょっと「イケてない」中年男性として描かれている。

主人公のティムは冷めた感じの青年で、テキトーな名探偵ピカチュウよりも圧倒的に「ちゃんと」している。おじさんはティムとの適切な距離がよくわからない。ピカチュウらしく肩に飛び乗ろうとして「そういうのやらないから」と苦笑され、逆に断られてしまう。若者の役に立つところを見せようとして、ベテランっぽい雰囲気を出すものの、テキトーさが災いして全く役に立たない。

それでも、素直じゃない若者をなだめたりすかしたり、助けたり助けられたりしながら、なんとか前に進む。ティムにとっておっさんはメンドクサイ、同時におっさんにとってもティムは手がかかる。
それでも面倒見のいいところはおっさんの面目躍如で、めげずに距離を詰めていくところは若者にはなかなか出来ないところである。

この物語は、どちらかというと小さな子供向けではなく、おっさん世代もしくはティム世代に向けた作品のような気すらする。


3.世界観だよ全員集合

映画「名探偵ピカチュウ」の最大の魅力は、誰がなんと言っても世界観だろう。

空を飛ぶのは鳥ではなく、「とりポケモン」。カビゴンは道路で眠りこけ、カイリキーは4本の腕で忙しく交通整理する。渓流にはフシギダネが息づき、ブルーはしかめっ面で出勤し、コダックは頭を抱える。
例えば毎日の通勤の雑踏のなか、隣を相棒ポケモンが一緒に歩いてくれたら、会社勤めも確実に楽しくなりそうなものだけど、ライムシティではそれが普通だ。
かつて映画「アバター」が大ヒットしたとき、惑星パンドラの世界観から戻ってこられない「アバター症候群」なる言葉が流行したが、名探偵ピカチュウの世界観はそれよりもう少しだけ、おじさんやおばさんの身近に息づいている、日常のすぐ隣にある非日常なのだ。

ここまでで、ポケモンGoおじさんが「名探偵ピカチュウ」を楽しむにあたって何ら障壁などなく、むしろピカチュウは劇場で両手を広げて待っているということが伝わっていれば大変嬉しい。

ポケモンGoユーザー向けのちょっとした解説

ここからは、ポケモンGoに未登場のポケモンや概念について、補足的な解説を展開したい。

前述の通り、ストーリーに関わる重大なネタバレは慎重に避けているが、もちろん読まずに鑑賞いただいて、鑑賞後に読みながらじっくり思い返していただくと、新たな気づきがあるかもしれない。

ピカチュウピチューが覚える、とても強力な技。ポケモンGoでは未実装。
強力な反面、反動で、与えたダメージの約1/3を自分も受けるため、ここぞという所でのみ、捨て身で使う必殺技となっている。
使うときは「ピカピカピカピカ!」や「ピーカーぢゅううううッ!」などと叫ぶのがお約束。

 

  • うたう(プリン)

ポケモンGoでは未実装の技。相手を強制的に寝かせる。
アニメ版では、プリンの歌で寝てしまうと、歌を聞いていないことに怒ったプリンにイタズラされることがある。

 

ポケモンGoでは未実装のポケモン。タイプはみず/あく。
素早さと特攻(ポケモンGoでは攻撃に相当)が高く、見た目通りニンジャっぽく手裏剣など投げるので国内外問わず人気のポケモンとなっている。
第6世代のポケモンのため、ポケモンGoへの実装にはまだ時間がかかりそう。

 

ポケモンGo実装済み。たまに頭を抱えているのは、頭痛持ちで、頭痛がひどくなると「ねんりき」が漏れ出てしまう‥ということが、ポケモンGoのずかんには書かれていないので補足。

 

ポケモンGoでは期間限定のイベントで過去に登場したが、現在は入手できないため一応記載。
かつてカントー地方の科学者が、まぼろしポケモン「ミュウ」の化石をもとに遺伝子操作を行い、生み出した人造のポケモン。ミュウとは別のポケモンであり、進化形ではない。
映画「ミュウツーの逆襲」では、真面目な性格なのか、悩みすぎて事件を企てたりするが、もろもろあって新たな居場所を求めて旅立った。「名探偵ピカチュウ」ではカントー地方への言及があることから、時間軸としては「ミュウツーの逆襲」の方が先かと思われる。
映画「ミュウツーの逆襲」は1998年の名作で、ポケモン初の劇場版ということもあり、最近でもツタヤさんなどのレンタルショップで見かけることができる。また、この夏3DCG化して映画館に戻ってくるので、あわせて鑑賞を検討したい。こちらもとても子供向けとは思えない、重いテーマを扱っており、特に疲れた大人はハンカチ必携と言える。
脱線したが、ポケモンGoの方でも映画に合わせ、再びレイドバトルなどに現れることを期待したい。


おじさんの所感

まだまだ語りたらないが、ひとまず以上とする。

所感としては、眉間にシワのクチャッと寄った、「可愛いだけじゃないピカチュウ」は新鮮だったように思う。シワシワでも愛されていいじゃない。
一方で、日本で製作するとシワシワのピカチュウは実現が難しい(可愛くするのは得意だが、敢えてシワシワにする判断をするのが難しい)のではないだろうか、ということも考えた。
これは裏を返せば、いろいろな形で責任を負っている現代日本のおじさんは、最近の若者が「シワシワのピカチュウ」を企画として持ってきたときに、Goと言えるおじさんなのか?ということだ(誰がうまいこと言えと)。

小難しい話になってしまったが、日本発のコンテンツが世界で解釈されて、さらに新しい方向性の世界が広がる、そんな新しい時代のちょっとした奇跡を目の当たりにし、おじさんはありとあらゆるものに感謝したい。

なお、ポケモンGoの世界は日々進化しており、本日時点の情報であることを念の為記しておく。

*1:記載を簡略化したが、広義のおじさんはおじさん以外のすべての人類を含むものと定義する。